懷中時計くわいちうどけい)” の例文
新字:懐中時計
懷中時計くわいちうどけい海水かいすいひたされて、最早もはやものようにはらぬが、とき午前ごぜんの十と十一とのあひだであらう、此時このとき不圖ふと心付こゝろづくと、今迄いままでは、たゞなみのまに/\たゞよつてるとのみおもつてつた端艇たんてい
『四時だツたね、汽車は。』と、小池こいけ懷中時計くわいちうどけいを見い/\歩くあとから、お光が小股走こまたばしりに停車場ステーシヨンの方へいて行くのを、女房は西日にしびを受けつゝ店頭みせさきに立つて、まぶしさうにぼんやりと見送つてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)