ゆう)” の例文
しかるにいっこう長閑そうになく、ゆううつらしいようすをした、浪人者らしい二人の武士が、京都のほうへ歩いていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だから貧時ひんじにはひんばくせられ、富時ふじにはに縛せられ、憂時ゆうじにはゆうに縛せられ、喜時きじにはに縛せられるのさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
張既ちょうきあざな徳容とくようという者がいます。高陵の生れです。これを京兆けいちょういんにお用い下さい。張既と力を協せて、必ず、丞相をして二度と西涼のゆうをなからしめてみせます」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、その喜びは、かれを一そうゆううつにする原因でしかなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)