態度やうす)” の例文
信吾は常に変らぬ態度やうす乍らも、何処か落着かぬ様で、室に入ると不図気がさした様に見巡みまはして坐つたが、今まで客のあつたとも見えぬ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
清浦奎吾きようらけいご氏は持前の容貌かほたちが、頭は尖つてゐるし、眼は小さし、余りどつとしないので、せめて態度やうすにでもしつかりしたところが無くつちやと
下り坂の人は気の弱いもので、すこし郡視学に冷酷な態度やうすあらはれると、もう妙に固くなつて思ふことを言ひかねる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
少し話したい事があるから、と渠が云つた時、女は「さうですか。」と平気な態度やうすで立つた。二人は人の居ない診察所に入つた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
政治家、軍人といつたやうな、世間の前に立つてお芝居をする必要のある人達は、相手の頭に強く自分を焼きつける為には、ほかに真似手のない特別お誂への態度やうすをしなければならぬ事になつてゐる。
七人の看護婦の中、青ざめた看護婦長一人を除いては、皆、美しくないまでも若かつた。若くないまでも、少くとも若々しい態度やうすをして居た。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
七人の看護婦の中、青ざめた看護婦長一人を除いては、皆、美しくないまでも、若かつた。若くないまでも、少くとも若々しい態度やうすをして居た。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その態度やうすは、屹度の時の事を詳しく思出してるのだと静子に思はせた。静子も強ひて其時の事を思出して見た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と言つた信吾の態度やうすは、宛然さながら、其麽事は聞いても聞かなくても可いと言つた様であつたが、静子は征矢そやの如く兄の心を感じた。そして、何といふ事なしに
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と、一同みんなに挨拶した。そして、手づから椅子を引寄せて、遠慮もなく腰を掛け、校長や秋野と二言三言話してゐたが、何やら気の急ぐ態度やうすであつた。その横顔を健はじつ凝視みつめてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
孝子は気毒きのどくさに見ぬ振をしながらも、健のその態度やうすをそれとなく見てゐた。そして訳もなく胸が迫つて、泣きたくなることがあつた。其麽そんな時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまで残つた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
戻すも具合惡く、戻さぬも具合惡いといつた態度やうすである。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
戻すも具合悪く、戻さぬも具合悪いといつた態度やうすである。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)