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愛嬌者
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あいきょうもの
ふりがな文庫
“
愛嬌者
(
あいきょうもの
)” の例文
よく行った松の湯は新しく
普請
(
ふしん
)
をして見違えるようにりっぱになった。通りの荒物屋にはやはり
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
のかみさんがすわって客に接している。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
もしそこに客がいなかったら、葉子は子供のように単純な
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
になって、倉地に渋い顔ばかりはさせておかなかったろう。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
裁判所長は非常に
思慮分別
(
しりょふんべつ
)
のある
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
だ——こういった連中がみな、チチコフを古い知合いのように歓迎した。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
厚着をさせてある頃で、お繁は未だ
匍
(
は
)
いもしなかったが、チョチチョチ位は出来た。漸く首のすわりもシッカリして来た。家の内での
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
に成っている。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
亭主はわざわざ上の部屋から、『
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
』の話を聞きにおりてきたらしく、けだるそうではあるが、もったいぶったあくびをしながら、少し離れて腰をおろした。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
五十五六の世馴れた
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
で、少し卑屈らしいところはありますが、その代り町内の旦那衆に可愛がられて、小僧を相手に
一文商
(
いちもんあきな
)
いをしながら気楽に暮しております。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは、すぐ近所の新聞社の二の面の(三の面の人は概して、飲みそうで飲まない)豪傑兼
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
である。けれども連中、だれも黙礼すら返さない、これが常例である。
号外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その理髪屋はかつて気が狂ったことのある男で、
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
のきれいな
上
(
かみ
)
さんである自分の女房のことについてジルノルマン氏を
妬
(
や
)
いていたので、従って彼をきらっていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そうでなければ、いわゆる、狐狸というようなお
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
が、型の如く人間を笑わせに来たのか、ともかくも、相当の心持であけてみる必要がある。ガラリ(戸をあけた音)——
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三味線弾きになろうとしたが非常に
癇
(
かん
)
が悪い。
落話家
(
はなしか
)
の前座になって見たがやはり見込がないので、遂に按摩になったという経歴から、ちょっと踊もやる
落話
(
おとしばなし
)
もする
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
であった。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「貴方、お疑り遊ばすと
暴風雨
(
あらし
)
になりますよ。」といって、塗盆を
片頬
(
かたほ
)
にあてて
吻々
(
ほほ
)
と笑った、聞えた
愛嬌者
(
あいきょうもの
)
である。島野は顔の皮を
弛
(
ゆる
)
めて、眉をびりびり、目を細うしたのは
謂
(
い
)
うまでもない。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
嬌
漢検1級
部首:⼥
15画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“愛嬌”で始まる語句
愛嬌
愛嬌造
愛嬌喚
愛嬌噺
愛嬌毛
愛嬌気
愛嬌笑
愛嬌談
愛嬌顔
愛嬌黒子