愛妾あいせふ)” の例文
道々、三好屋の隱居が話してくれましたが、この梅屋敷といふのは、三千五百石取の大旗本、本郷丸山の荻野左仲をぎのさちうの別莊で、住んで居るのは、愛妾あいせふお紋の方。
それをまた誰も怪しまない。笑はない。大官の愛妾あいせふまでが兵士を連れて買物に歩く北京のことだから。——
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
申立其場は立去申まじと答ければ感應院の死去しきよは全く毒殺どくさつこそ知られけり抑々そも/\此清兵衞と云はもと紀伊大納言光貞卿みつさだきやう御意に入の醫師にて高橋意伯いはくとて博學はくがくの者なりしが光貞卿の御愛妾あいせふさくの方といふに密通みつつうなし大納言殿の御眼にれ其方深山幽谷しんざんいうこくに住居すべし家督かとくせがれへ申付捨扶持すてふちとして五人扶持を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
愛妾あいせふのお町、中間ちうげんの勝造、それに庭掃除の親爺三吉をお燗番に、藝妓大小三人、幇間ほうかん一人を伴れて、晝から漕ぎ出させ、水神まで一と往復した上、夕景から三圍の前に着けさせて