たけ)” の例文
たけしい、さがしい、冷たい、氷の欠片かけのような厳しい光の眼であった。しかし美しいことは美しい、——悪の美しさの眼であった。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
汝等手綱をとれるよりこのかた、拍車によりてめらるゝことなければ、見よこの獸のいかばかりたけくなれるやを 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
左に推させ、と右へ、捻ぢ回したる打擂すまひ本手てなみに、さしもたけたる須本太牛は、おぞ頑童わらべ放下ほかさるる猪児ゐのこごと地響ぢひびきして摚と仰反り倒れけり——と描写している。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
圭一郎はたけり立つて毎日の日課にして子供に數を教へた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「煩さいつたら!」兄はたけり立つた金切聲で叱り附けた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)