)” の例文
本来この筆記は単に記憶に存したる事実を思い出ずるまゝに語りしものなれば、あたかも一場の談話にして、もとより事の詳細をくしたるにあらず。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
本来この筆記は単に記憶に存したる事実を思い出ずるまゝに語りしものなれば、あたかも一場の談話にして、もとより事の詳細をくしたるにあらず。
……さて満月さんをお引取りになりましてからの大尽さまのお心づくしというものは、それはそれは心にも言葉にもくされる事では御座いませなんだ。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その中に亀多く居るを見てこれを食いくそうとした爾時そのとき亀高声にさけんでわれらをただ食うとは卑劣じゃ、まず汝と競駈かけくらべして亀が劣ったら汝に食わりょうというと
説いて委曲をくす事能わず、研究またすこぶる不十分で、後の訂正増補を要すること少くなかったにかかわらず、幸いに読者諸君の甚大なる注意を促すことを得て
器量、不器量、好き嫌い、粋無粋すいぶすいかずくして千差万別と云っても差支えないくらいである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
病気の治療も同様に、内科、外科、耳鼻科、皮膚科、眼科、歯科と数をくして研究を競わせているではないか。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
銀波、銀砂につらなる千古の名松は、清光のうちに風姿をくして、宛然えんぜん、名工の墨技ぼくぎ天籟てんらいを帯びたるが如し。行く事一里、漁村浜崎はまさきを過ぎて興なお尽きず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なほ六美女は当時十八歳なりしが、かねてより六字の名号みょうごうを紙に写すこと三万葉に及びしを、当来の参集にわかちしに、三日に足らずしてくせりといふ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)