志州ししゅう)” の例文
志州ししゅう鳥羽とばまでは汽車、鳥羽から紀伊きいのK港までは定期船、それから先は所の漁師にでも頼んで渡して貰う外には、便船とてもないのである。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
志州ししゅうの波切に霊汗地蔵というものがある。その体は石地蔵なるが、村内に変事のある場合には、必ず全身に発汗して予告なさるといわれている。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
これは今日の志州ししゅう磯部いそべ伊雑神宮いぞうじんぐうの地であって、いわゆる常世とこよなみ重浪しきなみするなぎさでもあった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大地震の区域は伊勢いせの山田辺から志州ししゅう鳥羽とばにまで及んだ。東海道の諸宿でも、出火、つぶなど数えきれないほどで、みや宿しゅくから吉原よしわらの宿までの間に無難なところはわずかに二宿しかなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)