忌諱きい)” の例文
但し忌諱きいを憚り候儀もこれあり候はゞ、封書にて直様すぐさま差出し申すべく、また(肥後守)自身聞き届け候儀もこれ有る可く候
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
山県大弐の学説は幕府の忌諱きいに触れる点が多く、おまけに不穏なことを企んでいるなどという噂もあるので、ひそかに探索が廻っているという状態だそうだ
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「復活」等が当時の帝政露西亜の政府の忌諱きいに触れて焼かれたにも拘らず、人心をかくも捉え得たのは、亦その政治社会に対する宣伝的要素を充分備えていたからである。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
予の寡聞かぶんを以てしても、甲教師は超人哲学の紹介を試みたが為に、文部当局の忌諱きいに触れたとか聞いた。乙教師は恋愛問題の創作に耽ったが為に、陸軍当局の譴責を蒙ったそうである。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
第四種(触穢しょくえ編)たたりさわり、悩み、忌諱きい、触穢、厄落とし、厄払い、駆儺くだ祓除ふつじょ
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
就ては秀吉に対してかつて敵対行為を取って其忌諱きいに触れたために今にの大名にも召抱えられること無くて居る浪人共をも宥免ゆうめんあって、自分の旗の下に置くことを許容されたい、というのであった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雲浜が藩の忌諱きいにふれて素浪人になったのは嘉永五年でこの年長女竹子についで長男繁太郎が生れ、おまけに雲浜自身病気あがりで、どうにも凌ぎがつかぬところから
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)