徒跣はだし)” の例文
觸出ふれだして天一坊は直樣敷臺より乘物のりものにて立出れば越前守は徒跣はだしにて門際もんぎはまで出て平伏す駕籠脇かごわきすこし戸を引ば天一坊は越前ゐるかと云に越前守ハツと御うけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
真夏の炎天に笠も手拭てぬぐいも被らず、沖から吹く潮風に緑髪を乱して、胸の乳房もあらわに片手に蝋人形をさも大事相に抱いて、徒跣はだしのまま真黄な、真白な草花の咲いている
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
矢庭に圭一郎は庭に飛び下りた。徒跣はだしのまゝ追つ駈けて行つて閉まつた枝折戸しをりどで行き詰まつた子供を、既事すんでのことで引き捉へようとした途端、妻は身を躍らして自分を抱き留めた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
稿わらにとぼしきゆゑわらじをはかず、男女徒跣はだしにて山にもはたらく也。
あるは、木履きぐつき惱み、あるは徒跣はだしぬす
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あるは、木履きぐつき悩み、あるは徒跣はだしぬす
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)