当年とうねん)” の例文
旧字:當年
ただ、当年とうねんわりのないのは、初夏しょかのころになると、ふじのはなが、ところどころ、みごとにいてやまかざっていたのでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だんじて非なりと信ずるゆえに、たとえ当年とうねんの男伊達だての意気を思慕しぼするとはいえ、こんにちの男一匹は長兵衛そのままを写してなりとは思わぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この年齢になるまで——といって彼女はお婆さんだという意味ではない、これはそっと読者に知らすわけだが、風間光枝の本当の年齢は、当年とうねんとってやっとまだ二十歳なのである。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それよりもおどろいたのは、かがみうつった自分じぶん姿すがたでありました。頭髪とうはつは、半分はんぶんしろく、かおにはじわがって、当年とうねん若々わかわかしさが、まったくせてしまったことです。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)