弥右衛門やえもん)” の例文
旧字:彌右衞門
藤吉郎の実父弥右衛門やえもんと彼とは、親戚しんせきの縁故もあったからである。彦右衛門はまた、主君に告げて、この父子おやこをひきあわせた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またその許しをおおやけに得たものは、士籍にあっては豊後岡藩ぶんごおかはんの小川弥右衛門やえもん地下人じげにん(平民)にあっては伊那小野村の庄屋倉沢義髄よしゆきをはじめとする。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その駕籠屋の弥右衛門やえもんというのは、もと西条家の下僕を勤めていたもので、いま勤めている加助はそのせがれであった。
十八条乙 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
でも、父の弥右衛門やえもんだの、知己しるべの人たちが、産湯うぶゆから上げて、お襁褓むつのうえへ転がしてみると、突然、呱々ここの声をあげた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弥右衛門やえもんの持っていた古い鎧櫃よろいびつか、短刀のさやだかに、そんな紋を見た気がするので、案内してくれた中間に向って、ともかくそういってしまった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七歳ななつの日吉と、十歳とおになる姉と、わずか二人に過ぎなかったが、どっちもまだ何の働きに出せる年でもないし——良人おっと弥右衛門やえもんは、夏でも炉ばたに坐ったきりで
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
持萩もちはぎ中納言の息女むすめであったとか、彼はやぶ中納言保広やすひろ落胤おとしごであるとか、織田被官ひかんの足軽から帰農した百姓弥右衛門やえもんの子というのがまことであるとか、噂や蔭口もまちまちであったが
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「尾張中村の木下弥右衛門やえもんせがれといえば、わしだけしかない。名は、日吉ひよしというのさ」
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日吉の父、弥右衛門やえもんと、ちょうど同じような運命だった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——弥右衛門やえもんどのが生きてござったらなあ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)