引裂ひつさ)” の例文
婀娜あだたるこゑ障子しやうじけてかほした、水色みづいろ唐縮緬たうちりめん引裂ひつさいたまゝのたすきたまのやうなかひなもあらはに、蜘蛛くもしぼつた浴衣ゆかたおびめず、細紐ほそひもなりすそ端折はしよつて、ぬの純白じゆんぱくなのを
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
出来るものならば、この天地を引裂ひつさいて、この世の中を闇にして、それで、自分も真逆様まつさかさまにその暗い深い穴の中に落ちて行つたなら、んなに心地がいだらうといふやうな浅ましい心が起る。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)