差足さしあし)” の例文
彼女は、広い廊下を抜足ぬきあし差足さしあし、まるで彼女自身が、何かの怨霊ででもある様に、音もなく、奥へ奥へと進んで行った。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかしちょうどその時には、彼は何もそんなに、抜足ぬきあし差足さしあしで行く必要はなかったのです。
その寂寞せきばくやぶる、跫音あしおとが高いので、夜更よふけ里人さとびと懐疑うたがいを受けはしないかという懸念から、たれとがめはせぬのに、抜足ぬきあし差足さしあし、音は立てまいと思うほど、なお下駄げたひびきが胸を打って、耳をつらぬく。
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寂寞せきばくやぶる、跫音あしおとたかいので、夜更よふけ里人さとびと懷疑うたがひけはしないかといふ懸念けねんから、たれとがめはせぬのに、拔足ぬきあし差足さしあしおとてまいとおもふほど、なほ下駄げたひゞきむねつて、みゝつらぬく。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)