差寄さしよ)” の例文
はれやかに成つて、差寄さしよせる盆に折敷おりしいた白紙しらかみの上に乗つたのは、たとへば親指のさきばかり、名も知れぬ鳥の卵かと思ふもの……
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ちょっと。」「何さ。」手招てまねぎをして、「来て見なよ。」家内を呼出よびだして、両方から、そっと、顔を差寄さしよせると、じっとしたのが、かすかに黄色なくちばしを傾けた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又黙って俯向うつむいた、しばらくすると顔を上げて斜めに巻煙草を差寄さしよせて
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まただまつて俯向うつむいた、しばらくするとかほげてなゝめに卷煙草まきたばこ差寄さしよせて
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
栃の餅を包んで差寄さしよせた。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)