巨蟒うわばみ)” の例文
さて支那にも僧など暇多い故か、観察のくわしい人もあって、後唐の可止てふ僧托鉢して老母を養いあるきながら、青竜疏せいりょうそを誦する事三載みとせ、たちまち巨蟒うわばみあって房にあらわる。
春見は煎餅せんべいのような薄っぺらな損料蒲団そんりょうぶとんを掛けてうちに、又作はぐう/\と巨蟒うわばみのような高鼾たかいびきで前後も知らず、寝ついた様子に、春見は四辺あたりを見廻すと、先程又作がはりつるした
「町内中の騒ぎになるから、少し静かにしてくれ。麹町へ巨蟒うわばみなんか出っこはねえ」
花の直径は三間もあろうかことごとく花は上を向いて獲物を待っている巨蟒うわばみがその口をカッといたように花弁を広く押し開らいて空の陽の光を吸っているさまは花というよりも妖怪である。
物凄き人喰い花の怪 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見よ! 背後には僧は居ずに、皓々と輝く一匹の巨蟒うわばみ、数間に延びたる蛇体の一部に、可笑くも墨染の法衣を纏い、純八を目掛けて一文字に、矢のように飛び掛かって来るではないか!
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)