山芋やまいも)” の例文
山芋やまいもつるや、夕顔の蔓が、垣から手洗い鉢の脚にまでからみついている。その白い花の一つ一つが、夕風にうごき出した。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
要するに山芋やまいもうなぎすずめはまぐりとの関係も同じで、立会たちあいのうえで甲から乙へ変化するところを見届けぬかぎりは、真の調書は作成しえなかった道理である。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ここの荒地には、山芋やまいもが出来るので、よく家中で大変なカッコウをして掘りに出た。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
しかし蒲鉾かまぼこの種が山芋やまいもであるごとく、観音かんのんの像が一寸八分の朽木くちきであるごとく、鴨南蛮かもなんばんの材料が烏であるごとく、下宿屋の牛鍋ぎゅうなべが馬肉であるごとくインスピレーションも実は逆上である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鵜匠は、突然云い出して、頼朝の帯びている刀を、自分の携えている山芋やまいもつとへ入れ代えてくれた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の持って来る山芋やまいもは、この附近の山芋よりうまかった。で、助九郎が戯れ半分に訊くと
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オヤ。山芋やまいもつるがあるぜ。山芋掘るすべ知ってるか」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)