のば)” の例文
金万かねまんの若旦那実は敏腕家だけれど、差当り親父が頑張っているから、驥足きそくのばすことが出来ない。猫のようになって、爪をかくしている。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大きな玉子二つでよく溶いて粉と混ぜて水でねますがその加減は饂飩の捏ねたのよりも柔いほどにして厚さ二分か三分位にのばします。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
風をふところへ入れ足をのばして休む。青ぎった空にみどりの松林、百舌もずもどこかで鳴いている。声の響くほど山は静かなのだ。天と地との間で広い畑の真ン中に二人が話をしているのである。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あそこで自然が、自由に非常な力をのばすのを
小匙一杯半塩少しと唐辛とうがらし極く少しと胡椒少しとを加えて摺卸すりおろしたチースを大匙二杯入れて混ぜてまたメリケン粉を大匙五杯混ぜてそれへ牛乳を加減かげんして煉りのばします。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)