もののかず)” の例文
われ主家を出でしより、到る処の犬とあらそいしが、かつてもののかずともせざりしに。うえてふ敵には勝ちがたく、かくてはこの原の露ときえて、からすえじきとなりなんも知られず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
菜籠なかごを担って晨朝あしたに銭六、七百を携え、蔓菁かぶら、大根、蓮根れんこん、芋を買い、わが力の限り肩の痛むももののかずともせず、脚にまかせてちまたを声ふり立て、かぶらめせ、大根はいかに、蓮も候、芋やいも、と呼ばわりて
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)