小生しょうせい)” の例文
拝啓学位辞退の儀は既に発令後の申出にかかるゆえ小生しょうせいの希望通り取計らいかぬるむねの御返事をりょうし、再応さいおうの御答を致します。
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
オーケストラが日本一、そうして、小生しょうせいの私のはいぼくが、エヘン、日本一のいい男の一寸法師、チョンチョンチョン。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
——いや小生しょうせいはこのたびぜひとも博士せんせいにお願いをして、毒瓦斯どくガスをマスターいたしたいと決心しまして、そのことで遥々はるばる南海の孤島ことうからやって参りました
しかし、紹介者などなくても、小生しょうせいが何者であるかは、新聞紙上でよくご承知のことと思います。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
御紹介する右は小生しょうせいの同県人にて小生とは年来親しくしている人なり君の会社に勤めつつある某社員の身元にいて調べたい事項があるそうだから御面会の上宜敷よろしく御取計いを
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
猿之助からの返事は、小生しょうせいゆえに、長い友達と絶交してくれるなというのだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
良寛りょうかんが否認する料理屋の料理とか、書家の書歌みの歌の意は、小生しょうせい双手もろてを挙げて同感するが、世人は一向反省の色を見せない。世人の多くは真剣にものを考えないとしか考えられない。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
句としては名句かも知れないが、ちょっとしたシャレに過ぎない。小生しょうせいなどから見ると、芭蕉はふぐを知らずにふぐを語っているようだ。他の句は別として、この句はなんとしても不可解だ。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)