寝像ねぞう)” の例文
そして係員らしいのが、皆の寝像ねぞうを調べに入ってきた。やむを得ず、畳の上の人たちは、塩煎餅しおせんべいをかえすように、身体を横に立てた。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と言って寝像ねぞうの悪い米友は足を出しました。その足を避けようとした竜之助は、よろよろとよろめいて、行燈に片手をかけました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大きさも恰好も似ていますし、寝像ねぞうが悪くて見当が狂っていましたから、つい間違えて引き寄せたんです
社長秘書 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
柏餅が一番いんです、布団の両端りょうはじを取って巻付けて両足をそくに立ってむこうの方に枕をえて、これなりにドンと寝ると、い塩梅に枕の処へ参りますが、そのかわり寝像ねぞうが悪いとあんがはみ出します
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
米友が、その灰神楽を鎮静せしめた途端に、目に触れたのは、ついそこに太平楽で大いびきをかいている道庵先生の寝像ねぞうでありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
またおれが女中部屋の寝像ねぞううつつを抜かして、ついこんな性悪しょうわるをやらかしたように安く見ていなさるようだが、はばかりながらそんな玉じゃねえんだ。
「この野郎、扇屋の女中部屋の寝像ねぞうにでも見恍みとれて、またよくねえ了見りょうけんを出したとみえるな、世話の焼けた野郎だ」