いね)” の例文
「白雲の中にいねても山をいでゝ塵のちまたに通ふ夢かな」とは我がある時の実際をよみたる吟なりき。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
妾が血をいて熱をなすものは何ぞ。妾を病ましむるものは何ぞ。妾はめて何をか思へる。妾はいねて何をか夢みたる。おん身の愛憐のみ。おん身の接吻のみ。アントニオよ。
いねてもつかれずや、コホンコホンとしはぶく声の、骨身にこたへてセツナそうなるにぞ、そのつど少女は、慌てて父が枕もとなる洗ひ洒しの布片きれを取りて父に与へ、赤きものの交りたる啖を拭はせて
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)