富子とみこ)” の例文
その女子の名は富子とみこ、やがて富子が都から帰って来ると、豊雄はその家に迎えられたが、二日目の夜になって、豊雄はよきほどに酔って
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
よき事なりてやが三〇五ちなみをなしける。かくて都へもむかひの人をのぼせしかば、此の采女富子とみこなるもの、よろこびて帰り来る。
一人娘の富子とみこが、外人の家庭教師と二人で、この十日ほど前からやって来ていた、が、その二人も、今日の午後になって、大嫌いな客がやって来ると
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
其処で富子とみこ(恒雄の妻)は孝太郎に彼女の過去をうちあけ、また彼の同情ある慰安の言葉を聞いた。そして其処で咋日の夕方孝太郎と富子とはふと唇と唇と、腕と腕との抱擁を交わしたのである。
囚われ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
弥兵衛やひょうえつかのつるぎ遂に抜きて富子とみこりてふたきだとなす
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
たらちねの母の乳房ちぶさにすがりゐる富子とみこをみれば心はぎぬ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
大宅の方でも乗り気になり、はなしが順調にはこんで、すぐに婚約をした。そこで、都へむかいの人をやると、この采女をしている富子とみこという娘もよろこんで帰ってきた。