宿直所とのいどころ)” の例文
源氏は友人に威嚇おどされたことを残念に思いながら宿直所とのいどころで寝ていた。驚かされた典侍は翌朝残っていた指貫さしぬきや帯などを持たせてよこした。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
夜の御殿おとど宿直所とのいどころから退さがる朝、続いてその人ばかりが召される夜、目に見耳に聞いて口惜くちおしがらせた恨みのせいもあったかからだが弱くなって
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
中将時代にはおもに宮中の宿直所とのいどころに暮らして、時たまにしかしゅうとの左大臣家へ行かないので、別に恋人を持っているかのような疑いを受けていたが
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女のうわさを関心も持たないように聞いていながら、その中のある者に特別な興味を持つような癖が源氏にできたころ、源氏の宿直所とのいどころのつれづれな夜話に
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
七月になってその事が実現された。非常なお気に入りであったのであるから、人のそしりも思召おぼしめさずに、お常御殿の宿直所とのいどころにばかり尚侍は置かれていた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それ以来どの恋人の所へも行かず宮中の宿直所とのいどころででも、二条の院ででも、昼間は終日物思いに暮らして、王命婦おうみょうぶに手引きを迫ることのほかは何もしなかった。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏のほうは昔の宿直所とのいどころ桐壺きりつぼの室内装飾などを直させることなどで時日が延びているのを、東宮は待ち遠しく思召す御様子であったから、四月に参ることに定めた。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
兵部卿の宮の宿直所とのいどころに今日の参会者たちは集まって行き夜の食事をいただいたりしていた。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
気のきいた良清よしきよ惟光これみつに命じて見張らせておいたが、源氏が宿直所とのいどころのほうへ帰ると
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
多情な若い女であったが、源氏も宮中の宿直所とのいどころでは女房のようにして使っていた。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その年の暮れの押しつまったころに、源氏の御所の宿直所とのいどころ大輔たゆう命婦みょうぶが来た。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
行触ゆきぶれの遠慮の正規の日数もこの日で終わる夜であったから、源氏はいたく思召おぼしめみかどの御心中を察して、御所の宿直所とのいどころにまで出かけた。退出の時は左大臣が自身の車へ乗せてやしきへ伴った。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏の現在の宿直所とのいどころもやはり昔の桐壺きりつぼであって、梨壺なしつぼに東宮は住んでおいでになるのであったから、御近所であるために源氏はその御殿とお親しくして、自然東宮の御後見もするようになった。
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
酔いを帯びた源氏はこのままで宿直所とのいどころへはいるのが惜しくなった。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)