容体ようたい)” の例文
旧字:容體
懊悩おうのうとしてうきへざらんやうなる彼の容体ようたい幾許いくばくの変も見えざりけれど、その心に水と火の如きものありて相剋あひこくする苦痛は、ますます募りてやまざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と宮内はそこへしゃがみこんで、からだの、容体ようたいをききはじめた。そのようすをみると、かれはしばらく病人となって、この可愛御堂にじこもっていたものとみえる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最早もう斯の病人はむづヶしいと言はれた頃から、まだ幾日となく同じやうな容体ようたいが続いた。柿田はうちのもの皆なから好かれて、田舎出らしい女中ばかりでなく、店のものからも慣々しく言葉を掛けられた。
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんなに、容体ようたいがあぶないのかね」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)