孤屋こおく)” の例文
同じように、たとえば「炭俵」秋の部の其角きかく孤屋こおくのデュエットを見ると、なんとなく金属管楽器と木管楽器の対立という感じがある。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
良人に残されて孤屋こおくを守る妻や——父を慕って夜泣きする頑是がんぜない子達や——年老いて子に先立たれてゆく親達や——
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途中で別れた白根行きの二人、帰途、この茶屋へ知らずに飛び込み、有繋さすがの両人も孤屋こおく怪婆かいば吃驚敗亡きっきょうはいぼうあとをも見ず一目散に逃げ出したそうである。
と腹の中でめながら、なお四辺を見て行くと、百姓家の小汚こぎたな孤屋こおくの背戸にしいまじりにくりだか何だか三四本えてる樹蔭こかげに、黄色い四べんの花の咲いている、毛の生えたくきから
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
行燈あんどうの引出さがすはしたぜに 孤屋こおく
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)