孟買ボンベイ)” の例文
妾は亜丁アテウ湾を横切って孟買ボンベイに一路船が進行をつづけるころになると急にアラビア海に顔をうつしてお化粧を始めてしまったのです——。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
昨今さくこんは英帝が印度インド皇帝としての戴冠式を挙げる為に孟買ボンベイに行幸してられるが、革命党が何か仕出かしはしまいかと半年前としまへから非常な警戒ださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
近く孟買ボンベイに栄転する筈の、神戸駐紮ちゆうさつ仏国領事などもその一にんで、この人は今だに領事館に電話を引かうとしない。
孟買ボンベイ市のは英国系で、ジェネラル・ホスピタルと呼んだ。印度パーシー族の大病院もあり、英語も充分に通用はしたのだが、何を食わされるのかもわからず、どうも信用がおけなかった。
狼育人児の一件に基づいて狼を霊物としたのが少なからじ(一八九六年版、クルックの『北印度俗宗および俚俗』二巻一五二—三頁。一九二四年版、エントホヴェンの『孟買ボンベイ俚俗』六章)
数年前、孟買ボンベイの赤丸平家の日本人倶楽部の Chamber maid に河上アダという混血児が雇われていた。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
その晩の八時から二等室で日本人の酢屋すやと英人のカアタアと両人の為に僕等の仲間で心ばかりの送別会を開いた。酢屋すやは横浜の貿易商で孟買ボンベイとカルカツタとに十年ぜんから店を持つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
孟買ボンベイ埠頭の藍色の海に室蘭丸が碇泊していた。午前五時出航なので船客は日が暮れると乗船を始め、私は午後九時頃に及んで荷揚場から黒奴に案内されてデッキに昇っていった。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
孟買ボンベイと聞くと僕等の門外漢には大分だいぶんに日本商人の勢力が及んでさうに想はれるが、三井物産と郵船会社との支店を除いて個人の経営する商店と云へば酢屋すやだけさうである。それ酢屋すやは憤慨して居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
イサックもまた一先ず上海の東洋での黄色い手を棄てて孟買ボンベイに帰る途中であった。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)