はらみ)” の例文
この文は鹿持翁の筆なればおおよそ小百年前のことにしてはらみのジャンはこのほどの昔よりもすでにその伝があったことが知れる(後略)。
怪異考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
弟さらばとて明玉をとりいだし鍛冶かぢするかなとこの上にのせかなつちをもて力にまかせて打ければ、をしむべし明玉砕破くだけて内に白玉をはらみしがそれもくだけ、水ありて四方あたり飛散とびちりけり。
これよりわたしの使いまする独楽は、その四国太夫の製法にかかわる、直径さしわたし一尺のはらみ独楽、用うる紐は一丈と八尺、麻に絹に女の髪を、い交ぜにしたものにござります。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
弟さらばとて明玉をとりいだし鍛冶かぢするかなとこの上にのせかなつちをもて力にまかせて打ければ、をしむべし明玉砕破くだけて内に白玉をはらみしがそれもくだけ、水ありて四方あたり飛散とびちりけり。
その怪異の第一は、自分の郷里高知こうち付近で知られている「はらみのジャン」と称するものである。
怪異考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ところが先年筑波山つくばさんの北側の柿岡かきおかの盆地へ行った時にかの地には珍しくない「地鳴り」の現象を数回体験した。その時に自分は全く神来的に「はらみのジャンはこれだ」と感じた。
怪異考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
卞和へんくわが玉も剖之これをわればうちはたして有玉たまありといへば、石中に玉をはらみたる事鍛冶かぢくだきたる玉卞和へんくわが玉にるゐせり。
焔が靡く度にそれがゆらゆらと揺れて何となく凄い。はらみの鼻の陰に泊っている帆前船の舷燈の青い光が、大きくうねっている。岬の上には警報台の赤燈が鈍く灯って波に映る。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
卞和へんくわが玉も剖之これをわればうちはたして有玉たまありといへば、石中に玉をはらみたる事鍛冶かぢくだきたる玉卞和へんくわが玉にるゐせり。
種崎の渡しの方には、茶船の旗が二つ見えて、池川の雨戸は空しく締められてこれも悲しい。はらみの山には紅葉が見えて美しい。碇を下ろして皆端艇へ移る。例のハイカラは浜行の茶船へのる。
高知がえり (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かならず此をんな当年このとしはらみ男をうむ
かならず此をんな当年このとしはらみ男をうむ