孔孟こうもう)” の例文
現代官僚の教育は常に孔孟こうもうの教を尊び忠孝仁義の道を説くと聞いているが、お茶の水をすぎる度々「仰高ぎょうこう」の二字を掲げた大成殿たいせいでんの表門を仰げば
克勤こくきんの、昼の為せるところ、夜はすなわち天にもうしたるに合せ考うれば、孝孺が善良の父、方正の師、孔孟こうもうの正大純粋のおしえ徳光とくこう恵風けいふう浸涵しんかんして
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この煎薬せんやくのにおいと自分らが少年時代に受けた孔孟こうもうの教えとには切っても切れないつながりがあるような気がする。
藤棚の陰から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
雲長は、よく子供らにもじまれていた。彼は、子どもらに孔孟こうもうの書を読んで聞かせ、文字を教えなどして、もう他念なき村夫子そんぷうしになりすましていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一に煙毒というて、かの阿片アヘンの中毒だ。これはなかなかひどい。第二には経毒というて、即ち経書の毒、いわゆる口に孔孟こうもうを説いて身に桀紂けっちゅうを行うというのだ。
学校の科目の中では孔孟こうもうの教だけに心惹かれるものがあった。事実点数も悪くなかったのである。
前途なお (新字新仮名) / 小山清(著)
日清にっしん戦争が始まった。「支那も昔は聖賢の教ありつる国」で、孔孟こうもうの生れた中華であったが、今は暴逆無道の野蛮国であるから、よろしく膺懲ようちょうすべしという歌が流行はやった。
「たとえにもよりけりだ。孔孟こうもうの道を百貨店の仕入れ物と一しょにするばかがどこにある? 教師からしてそういう不料簡ふりょうけんだから、世道日におとろえ人心月にすさむばかりだ。ちっと反省しなさい」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その説く所は宋儒の註釈した孔孟こうもうの教義には註釈者の私見が混っているので、真に孔孟の教を伝えるものではない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
むかし、孔孟こうもう以後、劉伶りゅうれいという賢者がいた。この賢者、つねにすきくわ)を杖として、天下に道を説いてあるき
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)