娯楽ごらく)” の例文
旧字:娯樂
また人間としての娯楽ごらくを求めることも不可能である、金はらんがもっと人間らしい生活をしたいというところにあるという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あいつは、ふた言目には品性だの、精神的娯楽ごらくだのと云うくせに、裏へまわって、芸者と関係なんかつけとる、しからんやつだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この地方に住んでいる人たちがおどりと娯楽ごらくのために集まっていましたが、この美しさを見ても、ふだん見なれているために、だれひとりおどろく者はありませんでした。
よくよく糟谷かすや苦悶くもんにつかれた。とおいさきのことはとにかく、なにかすこしのなぐさめをて、わずかのあいだなりとも、このつかれのくるしみをわすれる娯楽ごらくを取らねば、とてもたえられなくなった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
もしこの男にして一家の驕奢おごりはかり、その妻には流行の先駆者たらしめ、あるいは子女をしてだらしのない娯楽ごらくけらしむることをもって、おのれの利益とみなしたならば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかし人間だから、何か娯楽ごらくがないと、田舎いなかへ来てせまい土地では到底くらせるものではない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
友人のすすめとか、時勢の変遷へんせんとか、娯楽ごらくの必要とか、生理的要求とか、ちょっときくともっともらしい名目のもとに、青年時代の溌剌はつらつたる理想に遠ざかれるを発見するであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)