をば)” の例文
「何も今更あやまることは無いよ。一体今度の事はをぢさんをばさんの意から出たのか、又はお前さんも得心であるのか、それを聞けばいのだから」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又国にほふし尼無し、是に於いて汝が父多須那たすな橘豊日たちばなのとよひの天皇(用明天皇)の為に出家いへでし、仏法をつつしゐやまひたり、又汝がをば島女しまめ初めて出家して、諸尼の導者みちびきとして、釈教ほとけのみのり修行おこなふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
それは「をば捨てん湯婆たんぽかんせ星月夜」と「黒塚くろづか局女つぼねをんなのわく火鉢」との二句である。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
次に伊美賀古いみがこの王、次に山代の王、次に妹大伴おほともの王、次に櫻井のゆみはりの王、次に麻怒まのの王、次に橘の本の若子わくごの王、次に泥杼ねどの王(十三柱。)また岐多志比賣の命がをば小兄をえ比賣に娶ひて
それで僕は考へたのだ、これは一方にはをぢさんが僕を説いて、お前さんの方はをばさんが説得しやうと云ふので、無理に此処ここへ連出したに違無い。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ここにその御をば飯豐いひとよの王、聞き歡ばして、宮にのぼらしめたまひき。
をぢさんをばさんに迫られて、余義無くお前も承知をしたのならば、僕の考で破談にするほう幾許いくらもある。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)