妻女さいじょ)” の例文
「某家では、板女が衣類を持って逃げようとするところを知って、妻女さいじょ長刀なぎなたを持って切りかけると、壁厨おしいれの戸板へ引附いて消えてしまった」
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかも菊之丞きくのじょうの冷たいむくろを安置あんちした八じょうには、妻女さいじょのおむらさえれないおせんがただ一人ひとりくびれたまま、黙然もくねんひざうえ見詰みつめていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
親戚の妻女さいじょだれかれも通夜つやに来てくれた。平生へいぜい愛想笑いをする癖が、悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった。近所の者のこの際の無駄話は実にいやであった。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
十余人の者はある足軽の家に集まったが、そこには盗賊の入った形跡はなかった。小柄なそこの妻女さいじょは玄関の口に立って知己しりあいの人と話していた。
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
おせんはもう一白粉刷毛おしろいばけった。と、つぎからきこえてたのは、妻女さいじょのおむらのこえだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)