妃嬪ひひん)” の例文
すなわ曹国公そうこくこう李景隆りけいりゅうに命じ、兵を調してにわかに河南に至り、周王しゅく及び世子せいし妃嬪ひひんとらえ、爵を削りて庶人しょじんとなし、これ雲南うんなんうつしぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「みかどはおひとりでいらせられます。かしずく後宮の私たちは、廉子やすこさまはじめ二十人もの妃嬪ひひん御寵おんちょうきそっていました。どうして真実が生れ出ましょう」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女王は身の丈甚だ高からず、おもての輪廓鋭くして、黒き目は稍〻おちいりたり。衣裳つきはいと惡し。無遠慮に評せば、擬人せる貧窶ひんく妃嬪ひひん裝束さうぞくしたるとやいふべき。
末の妹の勾当ノ内侍も後宮に入って、あまたな妃嬪ひひんのうちでさえかがやく寵幸ちょうこうを身一つにほこっていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、まわりの妃嬪ひひんや、貴族たちにあります。が、従来は、触れ得ない所でした。今日では、ここもふつうに書けます。“新しい平家”が書かれてもよいと思ってやり出した所以ゆえんです。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、上皇が、おこのみによるものか、あるいは、側近から生じた流行かわからないが、とにかく鳥羽院を中心として、近年、妃嬪ひひんや公卿の服飾が、華奢になってきたことは、非常なものである。
妃嬪ひひん、百官も、こぞって、おあとに従い、加茂の神前へ、を運んだ。