如斯こん)” の例文
なんぞその心根の哀しさや。会いくば幾度いくたびにてもあえる、又た逢える筈の情縁あらば如斯こんな哀しい情緒おもいは起らぬものである。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
すべ如斯こんけで私はどうも旅とは思われぬ、真実故郷にかえった通りで誠に心地こころもち。それから兄が私に如何どうして貴様きさまは出し抜けに此処ここに来たのかという。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「若し彼女あれが大東館にでも宿泊っていたら、僕と白昼出会でっくわすかも知れない、僕は見るのも嫌です。往来で会うかも知れません如斯こんな狭い所ですから。」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
門閥制度は親の敵如斯こんなことを思えば、父の生涯、四十五年のその間、封建制度に束縛せられて何事も出来ず、むなしく不平をんで世を去りたるこそ遺憾なれ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)