天主閣てんしゅかく)” の例文
風をけて、湖の岐入の方へ流れ入ると、出崎の城の天主閣てんしゅかく松林まつばやしの蔭から覗き出した。秀江の村の網手の影が眼界にうかび上って来たのである。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
城は本丸ほんまる、二ノ丸、三ノ丸にわかれ、中央ちゅうおうに八そう天主閣てんしゅかくそびえていた、二じゅう以下いか惣塗そうぬりごめ、五じゅうには廻廊かいろうをめぐらし、勾欄こうらんには鳳龍ほうりゅう彫琢ちょうたく、千じょうじきには七宝しっぽうはしら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから私はよく早寝をした。が、床にはいっても容易に眠くはならなかった。雨戸の外では夜鳥よどりの声が、遠近えんきんを定めず私を驚かした。その声はこの住居すまいの上にある天主閣てんしゅかくを心に描かせた。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
天主閣てんしゅかく
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
天主閣てんしゅかくを見上げながらスタスタと急いでいます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)