下野國しもつけのくに日光山につくわうざん鎭座ちんざまします東照大神とうせうだいじんより第八代の將軍しやうぐん有徳院吉宗公いうとくゐんよしむねこうしようたてまつるは東照神君とうせうしんくんの十一なん紀伊國きいのくに和歌山わかやま城主じやうしゆたか五十五萬石をりやうするじゆ大納言光貞卿だいなごんみつさだきやうの三なんにて幼名えうみやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本腹ほんぷくなりとは大納言光貞卿だいなごんみつさだきやう紀州きしう和歌山わかやまにて大病たいびやうにつき奧方おくがた國元くにもといらせられぢき看病遊かんびやうあそばされたきよし度々たび/\の願ひ先例せんれいにはなくとも格別かくべつ家柄いへがらゆゑ聞濟きゝずみに成り國許くにもとのぼらせられ御看病遊ごかんびやうあそばし平癒へいゆ懷姙くわいにんなるゆゑ和歌山にて御誕生ごたんじやうありしなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)