外郭そとぐるわ)” の例文
三太郎のヘンなきごえに余一も咲耶子も、その時はじめて、夜気やきのふかいたちのあなた、外郭そとぐるわのあたりにあたって、しずかな変化へんかおこっているのに気がついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城将葛岡監物くずおかけんもつが案外に固く防ぎこらえて、そこより一里内外の新田に居た主人義隆に援を請い、義隆が直ちに諸将を遣わしたのに本づくので、中新田の城の外郭そとぐるわまではったが
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
全山ぜんざん城地じょうちと見なし、十七ちょう外郭そとぐるわとし、龍眼りゅうがんの地に本丸ほんまるをきずき、虎口ここうに八門、懸崖けんがい雁木坂がんぎざか、五ぎょうはしら樹林じゅりんにてつつみ、城望じょうぼうのやぐらは黒渋くろしぶにてりかくし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵も流石さすがに土民ではない、柳沢隆綱等は、此処をこらえでは、と熱湯の玉の汗になって防ぎ戦った。然し蒲生勢の恐ろしい勢は敵のきもを奪った。外郭そとぐるわは既に乗取った。二の丸も乗取った。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、離室はなれのほうへあごをさして、そのなかへ密談みつだんにすがたをかくしてしまった。そして半刻はんときばかりすると、伊部熊蔵いのべくまぞう躑躅つつじさきたち外郭そとぐるわけだしてきて、ピピピピと山笛やまぶえを吹いた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)