外桜田そとさくらだ)” の例文
まず江戸大城たいじょうに近く、外桜田そとさくらだ弁慶堀べんけいぼりより大名屋敷の白壁打続くかすみせきの傾斜は広重の好んで描きし地点なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すっかり恐縮して外桜田そとさくらだのお屋敷へ参上してみると、誰かお手附てつきの御用人にでも会って何か話があるのだろうと思って来たのが、直接殿様にお眼通りするのだという。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お濠にそって紀伊国坂をくだったとして、そこから外桜田そとさくらだへぬけるには、喰違御門か赤坂御門。
爺いさんは元大番石川阿波守総恒組美濃部伊織いしかわあわのかみふさつねくみみのべいおりと云って、宮重久右衛門の実兄である。婆あさんは伊織の妻るんと云って、外桜田そとさくらだの黒田家の奥に仕えて表使格おもてづかいかくになっていた女中である。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
江戸南町奉行えどみなみまちぶぎょう大岡越前守おおおかえちぜんのかみ忠相である。外桜田そとさくらだのお役宅やくたく、書院作りの奥の一間だった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
半蔵御門はんぞうごもんより外桜田そとさくらだの堀あるいはまた日比谷ひびや馬場先ばばさき和田倉わだくら御門外ごもんそとへかけての堀端ほりばたには一斉に柳がうわっていて処々に水撒みずまきの車が片寄せてある。この柳は恐らく明治になってから植えたものであろう。
外桜田そとさくらだに近い、屋敷である。奥まった書院づくりの一室で、縁に近く、野山の雑草、雑木をそのまま移し植えてあるので、いながらにして深山にある思いがする。忠相の趣味である。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
外桜田そとさくらだ……南町奉行大岡越前守忠相の役宅。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)