壮丁わかもの)” の例文
旧字:壯丁
彼方かなたの馬舎の横に、馬や従者をのこして大股にやって来た柴進さいしん。すでに壮丁わかものから、宋江の名は聞いていたものとみえ、ただちに
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
働き盛りの壮丁わかものは国をこぞって召し上げられ廩米は兵糧ひょうろうにつけ出されて、我々女や老人の口へはそれこそ一粒もはいりはせぬ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
屠手として是処に使役つかはれて居る壮丁わかものは十人ばかり、いづれまがひの無い新平民——殊に卑賤いやしい手合と見えて、特色のある皮膚の色が明白あり/\と目につく。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ところで、当の晁蓋はといえば、この時まだ奥の一房を出ていず、下男や壮丁わかものに命じて、わが家の諸所に火を放ち
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尾をくものは直に尾を捨て、細引を持つものは細引を捨てゝ、いづれも牛の上に登つた。多勢の壮丁わかものが力に任せ、所嫌はず踏付けるので、血潮は割かれた咽喉を通してあかく板敷の上へ流れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「惜しくも、晁蓋ちょうがいは逃がしたとあるが、荘院しょうやの食客、壮丁わかもの、雇人は多いはず。それらは一応、引きつれて帰ったか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)