墓詣はかまいり)” の例文
「お彼岸だものですから、お墓詣はかまいりに一人で出て来たついでに、あんまり気持がいのでつい何時までも家に帰らずにふらふらしていました。」
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
気に成りますから、……ずっと十二月しわすまでおくれましたが、墓詣はかまいりの時、茶屋で聞いて、塔婆のぬしの菩提寺がわかりました。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お久は此処こゝへ葬りになり、おれは、逃げれば甚藏が訴人するから、やっぱり羽生村に足を止めて墓詣はかまいりに来られる。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すぐに取って返せば、忘れ物でもしたように思うであろう。……先祖代々の墓詣はかまいり昨日きのう済ますし、久しぶりで見たかった公園もその帰りに廻る。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると其の翌年になりまして花車重吉という関取は行違ゆきちがいになりましたことで、毎年まいねん春になると年始に参りますが、惣次郎の墓詣はかまいりをしたいと出て来ましたが、取急ぎ水街道の麹屋へも寄らず
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一つは、鞄を提げて墓詣はかまいりをするのは、事務を扱うようで気がさしたからであった。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その前に、かれは母の実家さと檀那寺だんなでらなる、このあたりの寺に墓詣はかまいりした。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)