塩竈しおがま)” の例文
汽車が不通だというから塩竈しおがまを廻ったら、まだるッこくて仕方がないと。実際今日は天候のために、もう六時間以上も遅れているのだ。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さてそれより塩竈しおがま神社にもうでて、もうこのつぼいしぶみ前を過ぎ、芭蕉ばしょうつじにつき、青葉の名城は日暮れたれば明日の見物となすべきつもりにて、知る人のもとに行きける。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
着流きながしと来て、たもとへ入れた、例の菓子さ、紫蘇入しそいり塩竈しおがま両提ふたつさげの煙草入と一所にぶらぶら、皀莢さいかちの実で風に驚く……端銭はしたもない、お葬式とむらいで無常は感じる、ここが隅田おおかわで、小夜時雨さよしぐれ
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仙台や塩竈しおがまや松島で、いろいろの女の話を聞いた。その中で三人の女の話を書いてみる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とこには抱一上人ほういつしょうにん横物よこものはとりまして、不動さまに道了どうりょうさまと塩竈しおがまさまのおふくと掛け替り、そばに諸方から見舞に来た菓子折が積んで有りまするが、蒸菓子の方は悪くなるから先へ手を附け
『わしゃあ、塩竈しおがまだが』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしも松島まつしま記念大会に招かれて、仙台、塩竈しおがま、松島、金華山きんかざんなどを四日間巡回した旅行中の見聞を、手当り次第に書きなぐるにあたって、この五色筆の名をちょっと借用することにした。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)