塩瀬しおぜ)” の例文
地質は多分塩瀬しおぜであろう、表は上の方へ紅地に白く八重梅やえうめもんを抜き、下の方にから美人が高楼にして琴をだんじている図がある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
金ピカの塩瀬しおぜを色気よく高々と背負しょっているのだから、ウッカリした男の眼には十四五ぐらいにしか、うつらないでしょうよ。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
赤いてがらの細君は帯の間から塩瀬しおぜちいさ紙入かみいれを出して、あざやかな発音で静かに
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すると向うから、たすきがけの女が駈けて来て、いきなり塩瀬しおぜいつもんをつらまえた。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
埃及エジプト模様の塩瀬しおぜの丸帯に翡翠ひすいの帯留めをしているのですが、シュレムスカヤ夫人の境遇に同情を寄せ、しきりに彼女を褒めちぎっているのはこの婦人の方なのでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
塩瀬しおぜは羽織が大事だから引かれながら行く、途端とたんに高柳君に突き当った。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちいさなあか塩瀬しおぜ袱紗ふくさを二つにたたんで両端を持ってぴったり口にふたをするのでござりましたがそういう時はいつもの童顔が幼稚園の子供の顔のようにみえて二十はたち
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)