堯舜ぎょうしゅん)” の例文
新字:尭舜
町人までが、わしの志の判る世の中なら、それは堯舜ぎょうしゅんのような時代だ、老中、重役共でさえ、大義が何んであるかを知らない時世だ。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
堯舜ぎょうしゅん禅譲ぜんじょうにはじまり、は四百年十七代、桀王けつおうに及んで成湯せいとうのため南巣なんそうの野に放逐ほうちくされ、これがまあ支那における武力革命の淵源とでもいうのでしょうか
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
盗跖とうせきの心をもって貿易するも堯舜ぎょうしゅんの心をもって貿易するも、貿易はすなわち貿易なり。すでに貿易なり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
僕は機械的にしゃべっているうちにだんだん病的な破壊慾を感じ、堯舜ぎょうしゅんを架空の人物にしたのは勿論、「春秋しゅんじゅう」の著者もずっと後の漢代の人だったことを話し出した。
歯車 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
堯舜ぎょうしゅんの世アウガスタスの黄金時代に勝る楽園国を地上に建てしならん、しかれどもこれ彼の「否な否な然り然り」の直道ちょくどうを以て実行し得べきものにあらず、是と和し彼と戦い
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
煩悩ぼんのうをのがれて救いをえたいと願う利欲の心から、ほんとうの人間の道をむりに仏教の因果理論にひきつけて説き、堯舜ぎょうしゅんの教え、すなわち儒教の説にてらすべきを、仏教に混入して
堯舜ぎょうしゅんの時代というようなそんなものがあったか、なかったか、又この先きユウトピヤとか、ミロクの世の中とかいうものが来るか来ないか、そんなことを何遍繰返して考えてみたところで
惰眠洞妄語 (新字新仮名) / 辻潤(著)
孔子こうし堯舜ぎょうしゅん三代の道を述べて、その流義を立てたまへり。堯舜より以下を取れるは、其事のあきらかに伝はれる所なればなり。されども春秋のころにいたりて、世変り時うつりて、其道一向に用ゐられず。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ヴォアザンの如きは真にその君を堯舜ぎょうしゅんたらしめる者というべきである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
堯舜ぎょうしゅんの世はなかったのだ。なかったから孔夫子こうふうし創造つくったのだ。孔夫子に創造つくれた堯舜の世なら、組紐のお仙にも創造つくれる筈だ。彼女、自ら心内に、堯舜の世を形成かたちづくり、そこに住んだに相違ない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)