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在勤
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ざいきん
連て
兩國淺草等又は所々の
縁日熱閙場へ日毎に
出歩行給ひければ
自然と
下情に通ず
萬端如才なく成給へり程なく一ヶ年も
過將監も
江戸在勤の年限
果ければ又も徳太郎君を
供に連紀州の上屋敷へ到り
門番所にて尋ねらるゝ樣此節加納將監殿には江戸御
在勤なるやといふに門番答へて加納將監樣には三年前
死去せられ只今は御子息大隅守殿御家督に候と云ければ一
禮を
解てぞ
放しける徳太郎君は何となるべきと案じ
煩ひ給ひしに
斯赦され
蘇生せし心地し
這々の
體にて和歌山へ
立歸り此後は
大人くぞなり給ひけるとなん
斯て徳太郎君
追々成長まし/\早くも十八歳になり給へり
此年加納將監
江戸在勤を