噛分かみわ)” の例文
酸いも甘いもずんと噛分かみわけておられる、この度もおもとを引取って快く世話をしようと仰せられるのだ、よくお礼を申上げるよう
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
不思議ふしぎ不思議ふしぎだ」といつたとてつたが不思議ふしぎであてにはならぬといふにはあらず、こゝの道理だうり噛分かみわけてさ、この七不思議なゝふしぎたまへや。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「がし叔母が慈母おふくろのようにおれの心を噛分かみわけてくれたら、若し叔母が心をやわらげて共に困厄こんやくに安んずる事が出来たら、おれほど世に幸福な者は有るまいに」ト思ッて文三屡々しばしば嘆息した。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
世間を一向知らない私は前にもいう通りこういうものを書く人は皆世の中のいも甘いも噛分かみわけた中年以上の通人だとばかり漠然ばくぜんと思って、我々同年配の青年の団体とは少しも想像しなかった。