いか)” の例文
神将は手に三叉みつまたほこを持つてゐましたが、いきなりその戟の切先を杜子春の胸もとへ向けながら、眼をいからせて叱りつけるのを聞けば
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
飲料いんりょうには屹度きっと湯をくれと云う。曾て昆布こんぶの出しがらをやったら、次ぎに来た時、あんな物をくれるから、醤油しょうゆを損した上に下痢げりまでした、といかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼らがその真率しんそつにして赤児の如き点、また対照の価値なしとせず。松陰みずから諸友のおのれを疎隔するをいかるや、曰く、「最早吾といえども尊攘を説くべからず」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
昔美なる白綿羊を多く持った牧夫あり、何か仔細しさいあってその羊一疋を神ににえすべしと誓いながらしかせず、神これをいかって大波を起し牧夫も羊もき込んでしまった。
神将は手に三叉みつまたほこを持っていましたが、いきなりその戟の切先きっさきを杜子春のむなもとへ向けながら、眼をいからせて叱りつけるのを聞けば
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
同一種の猴ながらある島に住むはよく人になつき馴れるが、その近所の大陸に住む奴は捕えらるるや否や、甚だしく怖れまたいかってたちまち死するを熟知する故、猿取りに無駄骨を折らぬ。
ところが打たれた若者は、彼に腕を掴まれると、血迷った眼をいからせながら、今度は彼へ獅噛しがみついて来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)