“喧（けたたま）”の例文

満員の電車が喧（けたたま）しい警笛を鳴らして頻繁（ひんぱん）に通る。大阪は郊外生活が東京よりも早く発達したと小川さんが力説したが、成程盛んなものだ。

ぐうたら道中記 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

そのときベルが、喧（けたたま）しく鳴った。ジャズに囃（はや）されて重い緞帳（どんちょう）が上っていった。いよいよ第四の「ダンス・エ・シャンソン」の幕が開いたのだった。

間諜座事件 (新字新仮名) ／海野十三(著)

さて、そのブル公が今し喧（けたたま）しく吠え始めた。ブル公は人を見たら泥棒と思う。入魂（じっこん）でないものは念の為めに一応吠える。

親鳥子鳥 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

と軍隊で鍛えた胴間声（どうまごえ）が喧（けたたま）しく響き渡った刹那、曇り硝子の格子外でドサリという物音がして、ブルが唸った。

親鳥子鳥 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

婦人を深いところへ案内するほど喧（けたたま）しいことはない。今にも殺されるような悲鳴を揚げて、懸命に踠（もが）く。

脱線息子 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

アレキサンダーが喧（けたたま）しく吠え始めたから、玄関へ出て見ると、何処かの書生が猛犬を曳いて門の中へ入って来ている。アレキサンダーは身体を捻って一生懸命に吠えている。

負けない男 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

宿へ帰ると間もなく、新太郎君の室の窓下で鶏が喧（けたたま）しく騒ぎ出した。顔を出して見ると釣竿が転んで動いている。鉤（はり）にゴカイをつけたまゝにして置いたら、それを鶏が喰べて引っかゝったのだった。

脱線息子 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

と間もなく階段の下から母親が稍〻（やや）喧（けたたま）しく呼んだ。

脱線息子 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

と喧（けたたま）しく報告した。

求婚三銃士 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)

と喧（けたたま）しく呼んだ。

嫁取婿取 (新字新仮名) ／佐々木邦(著)