唐物とうぶつ)” の例文
糸の取引をしたり、唐物とうぶつの輸入をしたり、金銀の口銭こうせんを取ったり、その富の力の盛んなことは、外国までも響き渡るほどの大尽でありました。
三四郎は其夕方ゆふがた野々宮さんの所へ出掛けたが、時間がまだ少し早過はやすぎるので、散歩かた/″\四丁目迄て、襯衣シヤツを買ひに大きな唐物とうぶつ屋へはいつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
唐物とうぶつ(洋品)の商法あきないをするもの。この三つの者は勤王攘夷の敵と認めて誅戮ちゅうりくを加える。ただし、私欲でもって人民の財産を強奪することは許さない。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それが運よく成功して、表向きは博多の町に唐物とうぶつあきないの店を開いているが、その実は長崎奉行の眼をくぐって、いわゆる海賊を本業としていたのである。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「横山町の唐物とうぶつ問屋を探して、オランダ物の直しをする家を見付けて来るよ」
助「なアに、当時はおれも損をして商売替しょうべいげえをしべいと思って、唐物とうぶつを買出しに来たゞが、馴染なじみが少ないから横浜へ往ってちっとべい買出しをしべいと思って東京でも仕入れようと思って出て来た」
今のような百貨店配達や小売店網がまだゆきわたらなかった過渡期には、背負い呉服やら、唐物とうぶつ、薬種、雑貨荒物、文房具、煮豆の類まで、多くは行商人たちの足が各戸の需要にこたえていた。
だから日本の文学者が、好んで不安と云ふがはからのみ社会をゑがき出すのを、舶来の唐物とうぶつの様に見傚してゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
半分まだ江戸の町を見るような唐物とうぶつ店、荒物店、下駄げた店、針店、その他紺の暖簾のれんを掛けた大きな問屋が黒光りのする土蔵の軒を並べた商家の空気の濃いところにすら見つける。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ちょうど田原屋の唐物とうぶつみたいなもので——」
だから日本の文学者が、好んで不安と云う側からのみ社会を描き出すのを、舶来の唐物とうぶつの様に見傚みなした。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)