唇紅くちべに)” の例文
そのまゝ樹下きのもとに立せ玉ふ石地蔵𦬇いしのぢぞうぼさつまへならびたちながら、懐中くわいちゆうよりかゞみいだして鉛粉おしろいのところはげたるをつくろひ、唇紅くちべになどさしてよそほひをなす、これらの粧具しやうぐをかりに石仏せきぶつかしらく。
ハルミが、べっとりと唇紅くちべにのついた吸いかけのひかりを置いて、立って行った。
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
私はしみじみと白粉おしろいの匂いをかいだ。眉をひき、唇紅くちべにも濃くぬって、私は柱鏡のなかの姿にあどけない笑顔をこしらえてみる。青貝色のくしもさして、桃色のてがらもかけてまげも結んでみたい。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのまゝ樹下きのもとに立せ玉ふ石地蔵𦬇いしのぢぞうぼさつまへならびたちながら、懐中くわいちゆうよりかゞみいだして鉛粉おしろいのところはげたるをつくろひ、唇紅くちべになどさしてよそほひをなす、これらの粧具しやうぐをかりに石仏せきぶつかしらく。