咲乱さきみだ)” の例文
旧字:咲亂
ある日の事、自分は昼飯をべてのち、あまりの徒然とぜんに、慰み半分、今も盛りと庭に咲乱さきみだれている赤い夏菊を二三手折たおって来て、床の間の花瓶にけてみた
鬼無菊 (新字新仮名) / 北村四海(著)
消え残る夕焼の雲のきれと、紅蓮ぐれん白蓮びゃくれん咲乱さきみだれたような眺望ながめをなさったそうな。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに、小さな唐草蒔絵からくさまきえの車があった。おなじ蒔絵の台を離して、ながえをそのままに、うしろから押すと、少しきしんで毛氈の上をすべる。それが咲乱さきみだれた桜の枝を伝うようで、また、くれないの霞のなみを漕ぐような。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)